家のつくりようは・・・

wa02017jt.jpg家のつくりようは夏をむねとすべし冬はいかなる所にも住まる。暑きころ わろき住居は堪えがたきことなり」 吉田 兼好

 

住まいのかたちは、その国の気候風土、自然環境によって決まってきます。日本の伝統的な木造住宅も日本の高温多湿の夏をいかに過ごせるかということに、重点が置かれて造られてきました。

開ければ、ひとつながりにの空間となる襖や障子、建具を閉めた状態でも通風が確保される欄間、冷たい空気を取入れる地窓、京町家に見られる夏になると、衣替えするシトミ戸(よしずなどを組み込んだ風通しのよい建具)、ガラリ戸、大きな開口部などによって、通風が確保されていました。

又、外部の熱・光の緩衝帯となる縁側、夏の高い位置にある直射日光をさえぎったり、窓の庇や、屋根の軒の出などによって、熱を取入れない工夫がされていました。(庇や軒の出は、ジメジメした梅雨時など、降雨時でも、窓が開けられるといった通風の利点も)

 最近、敷地条件や騒音、防犯、都市部の過密など、住まいを取り巻く環境が悪くなり、どうしても、窓を閉めてクーラーをつけるといった設備に依存する住まいになるのは仕方がないかもしれませんが、住まいやそこに住む人の健康と言う点でも、もう少し先人達の知恵に敬意をはらいたいものです。

 

夏を涼しくすごす住まい方

夏を涼しくすごす住まい方(基本は通風と遮光)

・簾(すだれ)やよしずを利用する。・・・日差しや地面からの照り返しを防ぎながらも風通しは損なわない。ホームセンターなどで、廉価で売られているのも魅力。家の外につける方が外壁などに熱をもたせないので効果的

・家を留守にするときは部屋に熱・光をいれないようカーテンを閉める

・窓を開けて風を通す・・外気温が30度をこえると熱風を家の中に入れることになりかねないので、窓を閉めたほうがよいかも

・部屋が余っていれば、できるだけ夏涼しい部屋で寝る。・・・猫などの動物は季節によって快適な場所をよく知っていて寝る場所を替える。

・待機電力、無駄な照明など室内で不用意に発熱させない。

・庭やベランダなどに打ち水をする。・・・蒸散熱で温度を下げる

*高断熱や高気密の住宅は地域にもよりますが、日射を室内に取り込むと夏に熱がこもることにもなりかねません。そいった家はより、通風や遮光などへの配慮が必要です。

夏の涼しさは伝統的な手法により、冬の暖かさは高断熱・高気密という考え方の両方がそろって、初めて省エネ住宅と呼ばれます。

 

居間のお話

gp01047jt.jpg居間、英語でいうとリビングルーム。

現在では、リビングルームは家の間取りを考えるときに、家族空間として、真っ先に優先つけられます。

リビングルームが誕生したのは開拓時代のアメリカ。家族もお客さんも分け隔てなく、付き合えるように、家族団欒のための部屋と接客のための応接室などの部屋をひとつにしてしまったのが、はじまりだそうです。日本にもヨーロッパにもそのような部屋はありませんでした。

 戦前の日本の住まいは、家族の日常生活よりも、来客のための、座敷や応接室や玄関を必要以上に立派にしたり、日当たりのいいところに設けたりして、家族の空間である茶の間や台所は日当たりの悪い場所に追いやられていました。

戦後、アメリカからの影響で、来客主義から家族主義に。来客中心の間取りから、家族中心の間取りへと変わっていきます。そこに、もちこまれたのがリビングルーム。住まいの中心として、その役割の大きさに目を向けはじめられました。

個人のプライバシーを重んじ、家族を各個室に分散させる間取りが当たり前になった昨今、より、家族空間としてのリビングルーム、茶の間の役割が重要とされています。

収納のお話

in01021.jpg物で溢れた部屋、想像しただけでも落ち着きませんね。

手の届く範囲にものがあるほうが落ち着くし、出しっぱなしのほうが、探す手間が省けていいというツワモノもいてますが、ちらかった部屋はストレスを感じるものです。

 物の少なかった昔、日本では、部屋にあるものといえば、ちゃぶ台と衣類をいれておく箪笥ぐらい。布団などの寝具は押入れに、火鉢などの家財道具は物置や納戸にしまい必要に応じて部屋に運ぶといった質素かつシンプルな生活がなされていました。

 朝がきたら、布団をあげ、ちゃぶ台で食事をする。ひとつの部屋を多目的に使うスタイルはまるで劇場のよう。日本の家は「劇場型」といわれるゆえんです。

 これに対し、欧米では、部屋に重厚で装飾的な家具を置き、リビングには絵画や彫刻、食器でさえ、インテリアの一部として、ガラス棚に収納し、「博物館型」の住居といわれています。

 収納で言えば、日本は劇場型の「隠す収納」、欧米は博物館型の「見せる収納」

収納の広さ(隠す収納)は一般的に家の面積の8%ほど必要と言われています。30坪の家なら4畳半の部屋ひとつほど。地方の家だったらまだしも、限られた面積の都会の家ではそれだけの収納を確保するのはちょ無理かもしれません。

収納術や整理法など昨今取り上げられることが多いですが、物に振り回され、生活空間としての、部屋の快適性が失われないためにも、根本的に、「物を持つ基準を自覚する」ことが、難しいですけど、大事なことかもしれません。

床の間のお話

wa02056.jpg床の間をしつらえた和室・・・住まいの中で日本の情緒を感じさせてくれる空間ですね。掛け軸が掛けてあり、香炉や花入れが置かれ、違い棚にはしかるべきものが・・・まさしく「日本の粋」の世界です。

 床の間にはもともと2つの意味があったそうです。室町時代、中国の美術品を室内に飾ることが流行り、「芸術空間としての床の間」。もうひとつは、武家屋敷に造られた上段の間をはじまりとする「上座、下座などの格式空間としての床の間」。

 戦後、特に都会の住宅事情ではスペースの無駄、古臭い、実用的でない、造作に手間がかかるといった理由から敬遠されたり、あっても単なる物置になったりと、合理的な考えのもと隅に追いやられる存在となりました。

 話は変わりますが、超高層マンションの高層階などは、ストレス回避のため廊下をまっすぐせず、凹凸をつけて、無駄な空間をわざわざ設けることもあるそうです。

 一見合理的でない空間も、心の安らぎをもたらす上で必要なのかもしれません。

  吉田 兼好曰く

「造作は、用なきところを 作りたる 見るも面白く 万の用にも立ちてよしぞ 人の定め合い侍り詩し」 だそうです。

トイレのお話

rest01030jt.jpg 家の中で、一番開け閉めする扉は?玄関のドアや居間への出入り口かもしれません。育ち盛りのお子さんがいるところは間違いなく冷蔵庫の扉でしょう。トイレの扉もそのうちのひとつ。出入りの多い空間であるトイレのお話。

その昔、我が国では川に板を渡して、用を足していたそうです。天然の水洗トイレ。さぞかし、すがすがしさがあったにちがいありません。逆に、開放感がありすぎて用が足せないといった方も。

トイレはちょっと前まで、厠(かわや)と呼ばれ、その語源は「川屋」だと言うのもうなずけます。

その次に取って変わったのが、「くみ取り式便所」農家にとっては肥料の供給源としてありがたいものでもありましたが、問題は臭い。又、排泄の場は不浄のものとされ、家屋から離されたり、北側の隅に追いやられる存在になりました。そういった意味で、厠(かわや)の語源が「側屋」という説も。今でも、トイレでスリッパに履き替えるのも、この名残だとか。家相では、不浄の場とされ、鬼門や裏鬼門にトイレをもってくるのはタブーとされました。

 戦後、上下水道の整備に伴い、都市部では「水洗便所」が普及します。その後、かがんで用を足す和式便器から、座ってする洋式便器が排泄が楽に行えるということから、急速に普及しました。下足で家を歩き回るなどの住まいの洋風化は、なかなか馴染まなかったもののトイレの様式化は一気に進みました。

小さな子供や若い方は和式便器だと用を足せない方も多いとか。私の子供も公園の和便器をはじめて使ったときに、逆向きに座ったのはビックリしました。

 トイレの良し悪しを見ればその国の文化水準がわかるとよく言われます。一昔前のように隅に追いやるのではなく、トイレは明るく清潔で快適なものにしたいものです。

縁側のお話

wa02008.jpg日本の在来工法の家には、日本の風土と暮らしが育てた工夫があります。「縁側」もそのうちのひとつです。

縁側の縁とは、もともと中国の服の袖口の飾りをいい、擦り切れやすい袖口を補強する役目をもっていたそうです。縁側の役目もこれと同じで、木、紙、土などといった柔らかい素材でできている日本の住宅を風雨や直射日光などから守ってきました。

縁側のある家は二重閉まりになるため冬暖かいのはもちろんのこと、夏の日差しを縁側の屋根や庇が防いでくれるので、夏も涼しくすごせます。

和室は格式ばった空間であるのに対し、縁側は上座も下座もない自由な空間であり、一息をつく場所としても活躍しました。

縁側での日向ぼっこ、夏の夕暮れの夕涼み、近所の人とのおしゃべり、庭木自慢のおじいちゃんの観覧席、縁側は人と自然、個人と社会をつなぐ空間となり、日本人独特のくつろぎのスタイルを育んできました。

最近は住宅事情もあり、無駄な空間として切り捨てられるのは仕方のないことですが、「縁側」で繰り広げられた「くつろぎ」だけは忘れたくないものですね。

 「サザエさん」や「ちびまるこちゃん」の家には縁側がありますね。

畳のお話し

futta1212tatami.jpg最近の新築のマンションや建売住宅などでは、様々な事情があるものの和室がない、畳の部屋がないと言ったお家も、残念ながら多くなりました。

 

畳は、足触り、保温、吸音、適度な吸方湿性に優れ、日本の気候風土にぴったりの床材です。日焼けする欠点はあるものの、畳表が替えれるので、簡単に再生出来、新しいものは独特の香気を有し色が楽しめます。

 

蒸し暑い夏の日に窓を開けて、畳の上でゴロ寝、ちょっとした幸せですね。

 

又、「部屋が何帖ある」で広さが大体解るように、日本人独特の広さの尺度でもあります。関西間・関東間・中京間といって、地方によって多少の大きさの違いがあるものの、かつては、その畳の大きさを基準にして、家が造られていました。

なんでも、引越しの際には畳を上げて、次の住まいに持っていって敷いたそうです。現在は部屋の大きさを図り、それにあわせて畳が敷かれるので、残念ながらそんなことはできません。

最近のマンションなどでは、実際は4帖半ぐらいしかないのに、本来の畳の大きさとはかけ離れたものを6枚敷いて6帖の部屋とするのは、長年培ってきた日本人独特の広さの感覚が失われるのは残念です。

 

畳のお手入れ

畳は水分を含むと傷みや汚れカビの原因になるので、カラ拭きが原則。汚れが気になりだしたら、固く絞った雑巾を使って畳の目にそって拭くことと、雑巾の汚れがついた面は繰り返し使わないことがポイントです。やむを得ず、水や洗剤を使ったときはしっかり乾燥させましょう。

障子のお話し

shouji jt.jpg元々障子とは、屋内の空間を仕切る建具の総称でした。襖や衝立も本来は障子。今日の桟に和紙を張った障子は、古くは明かり障子と呼ばれていました。

これらの障子(襖を含む)は日本独特のもの。欧米では引き戸はほとんどみられません。引き違いや引き戸は開け閉めに便利で、省スペース。すべて取り外せば大空間を造ることだって可能。

日本人の造った優れた建具です。お土産にもって帰る外国人もいるそうです。

 

 障子の最も古い形は、奈良時代に誕生した衝立障子と言われています。

当時の貴族の家は今のワンルーム形式。目隠しの役目をする衝立障子は持ち運び可能で、今で言うフレキシブルな間取りを可能にしているのと同時に、絵画のキャンパスとして、室内の装飾品としての役割も担っていました。

平安時代の頃になると、現在の襖と呼ばれる建具が登場し、敷居と鴨居によって左右に開け閉めできるようになります。更に、鎌倉の頃になると格子状の桟の片面に和紙を貼った明かり障子が登場します。和紙を貼っただけなので光をよく通し室内の奥まで光を取り入れることが可能になりました。江戸時代以降、明かり障子は庶民の家の窓代わりとしても使われていくようになります。

障子を通しての柔らかな光りは、光と影の微妙な影を作り出し、日本人特有の繊細な美意識を育んだとも言われています。

小学校の林間学校でお寺に泊まった夜、レクリエーションでお坊さんが、障子の影を使って怪談話を盛り上げたのを、今でもおもいだします。お〜怖。

お風呂のお話し

furo jt.jpgお風呂には、もともと「湯」と「風呂」という2つの別々の意味があったそうです。

「湯」の語源は「斎川水(ゆかわみず)」という聖水のこと。古代の人々は身のケガレを清めるためにこの水をかぶりました。もちろん体のほこりや垢を落とすためだったのですが、ミソギの意味合いが強かったそうです。平安時代には貴族は湯殿にお湯を運ばせ、「湯浴み」といって、今の行水に近い入浴方法をとっていたそうです。

一方「風呂」の語源は穴ぐらを意味する「室(むろ)」がなまったもの、岩石を熱し、水をかけ蒸気を立たせて、敷物を敷いてその上に座り、汗をかいて疲れを癒す原始的なサウナ。奈良時代になると本格的な蒸し風呂施設が登場し寺院などで「施浴」とよばれ、庶民に振舞われたそうです。

江戸時代には寺院から独立し、庶民はお金を払って入浴するようになります。銭湯の始まりです。ここで、2つの入浴方法がひとつになり、現代の入浴方法が形造られたそうです。当時は基本的には男女混浴。そのために浴衣のようなものを着て入浴し、湯から上がれば2階の座敷でお茶のサービスや寿司が売られていたり、お花の稽古などが催され、庶民の娯楽兼社交場だったそうです。現代のスーパー銭湯みたいなものです。

江戸半ばになると「据え風呂」と呼ばれる内風呂が登場します。しかし、その当時「据え風呂」はかなりの贅沢品。据え風呂をもてない人は、持っている人のところに「もらい湯」をしたそうです。

温泉旅行の根強い人気に見られるように、日本人は老若男女を問わずお風呂好き。高温多湿の気候風土がその理由に挙げれますが、入浴の原点が「ミソギ」にあったように、日本人が風呂好きの理由は体だけでなく精神もリフレッシュしてくれることにあるのでしょう。

 

ちなみに私は昔ながらの銭湯が好きです。風呂上りに、スポーツ新聞を見ながら、缶ビールを「ぐびっと」

最高です。

 

 お風呂のお手入れ

浴室の掃除は、汚れが蒸気でゆるんで落としやすくなっている入浴後が一番。3日に一度入浴した人が浴槽や壁、床、バス洋品など、湯をかけながらスポンジでサットとこすりおとします。あたたかいうちなら洗剤もいりません。そのあと、シャワーを使って浴室全体に水を流して湯気を取り、水気をとって終わりです。(カビなどの汚れを防ぐため、換気扇・窓を開けての乾燥が大事)

日頃の手入れをしっかりしていれば、洗剤を使うのは週に一度ぐらいで十分。